京王線・刃物男　乗客パニック「死ぬかも」母にLINE【羽鳥慎一 モーニングショー】(2021年11月1日)

先月31日夜、東京・調布市を走行中の京王線の車内で、男が刃物で男性を刺し、液体をまいたうえで、ライターで火をつけました。

　警視庁によりますと、午後8時ごろ、「刃物を持った男がいる」「油のようなものに火を放った」などと複数の通報がありました。

　駆け付けた警察によって、現行犯逮捕されたのは、自称・服部恭太容疑者（24）です。

　捜査関係者によりますと、服部容疑者はバットマンのジョーカーの仮装をしていたといい、犯行後は車内のシートに座っていて、警察官から「刃物を捨てろ」と言われると、暴れることなく、刃物をシートに置いたということです。

　右胸を刺された70代の男性が意識不明の重体で、この他に16人がけがをしました。

■乗客パニック「押さないで」

　先月31日午後8時ごろ、京王線・新宿行き特急電車の車内映像。乗客が混乱した様子で、車内を走っていくのが分かる。

　我先にと乗客が逃げるなか、突然、車内で赤い炎が激しく燃え上がった。

　ハロウィーンの夜に、一体、何があったのか。

■「ドア開けて」車内から火柱

　午後7時58分、調布市を走行中の京王線の電車内で「刃物を持った男がいる」と、警察に相次ぎ通報があった。

　当時、同じ車両に乗っていた乗客は次のように話した。

　車内にいた男性：「『包丁持ってるから逃げろ』というので、皆のスイッチが入った。前方の車両が、どんどんと大人数になっていって、それが20人くらいが30人、40人となって」「倒れている人は見えましたね、後ろの方で。見た感じ3人から4人」

　電車は、普段は止まらない国領駅で緊急停止ボタンが押され緊急停車。しかし・・・。

　車内にいた女性：「パニック状態になっちゃって、ドアが開かないから。『開けて開けて』って言っても開かなくて、そうしたら」「椅子に上って、座席に上って窓から出て、ホームのドア閉まっているところに足掛けて、そこから飛び降りるっていう感じ」

　男は、70代の男性の胸を刺し、その後、車内で液体をまき、ライターで火をつけたとみられている。

　車内にいた女性：「かなりの刺激臭が車内に充満した。ガソリンか、揮発性の薬品」

　車内にいた男性：「電車乗るのが怖くなります。こんな経験したことない。死ぬ直前の気持ちじゃないですけど、なんとなく本当の恐怖を感じた」

　車内にいた女性：「まさか、自分が乗っている車両で、そんな事件が起こるとは思ってなかった。死ぬのかなって思って、LINEで『死ぬかもしれんけど、ありがとう』って、お母さんには送りました。死ななかったから、良かったですけど」

■運転見合わせ・・・タクシー行列

　午後11時の京王線の調布駅。まだ、上下線とも再開していないため、駅前のタクシー乗り場には、長い行列ができていた。

　女性：「（電車が）動いているかと思ったんですけど、ずっと止まっているみたいなので。どうしようもなくという感じ」

　タクシーで帰るのを諦める人もいた。

　男性：「タクシーに乗ろうと思ったらいっぱいだし」 「（Q.タクシーは断念？）しょうがないね。歩いて帰るしかないです」

　京王線はその後、今月1日午前1時すぎに上下線で運転を再開した。

■犯行直後・・・座席で“たばこ”

　犯行後の男の様子を捉えた動画。自称・服部恭太容疑者（24）が、足を組んで座席に座っている。この日は、ハロウィーン当日。まるで、バットマンのジョーカーのような仮装をしているのが分かる。

　右手には、犯行に使ったと思われる刃物。そして、火のついたたばこが左手にある。タバコを吸おうと口に持っていくが、緊張しているのか、手が小刻みに震えている。

　この後、駆け付けた警察官に対し、抵抗することなく、殺人未遂の疑いで現行犯逮捕された。

■走行中の車内はパニックに・・・

　服部容疑者は、なぜ凶行に及んだのか。

　服部容疑者は、先月31日午後8時前、3号車に乗車し、座っていた70代男性を突然、刃物で襲った。

　車内にいた男性：「車両のなかで、人がすって走り回っていたんですよ。ハロウィーンだからというのあって、そういう（ふざけている）若者がいるんだなと思っていたけど、後ろ見たら、どうも様子がおかしくて。一番後ろのほうに、刃物を振り回している男性がいて。これくらいの長いナイフのようなものを持っていて。それに鮮血付いているような感じ」

　70代の男性を刺した服部容疑者は、3号車から5号車に移動。乗客たちは男から逃げるため、電車の前方に我先に走っていく。

　動画の撮影者：「これはまずいと思って、前の方に逃げようとしたんですけれど、電車は走っているうえに、連結部に人が詰まっちゃって、それ以上前に行けなかった」

　車両の連結部分は幅が狭くなっているため、思うように人が通り抜けられず、後ろから押されて、倒れてしまう人もいた。

　何とか立ち上がるが、逃げる乗客で再び、行く手を阻まれる。

■「燃えている」電車内で放火

　それでも、必死に前の車両へ向かおうとしたその時、服部容疑者は持っていたペットボトルの液体をまき、ライターで火をつけた。

　走行中の車内で赤い炎が上がり、乗客はパニックになる。

　車内にいた男性：「窒息死するんじゃないかっていうくらい、押し寄せられたので。黒煙とかも、後ろのほうで見えてきたので、早く（電車を）止めさせないとって」

　電車のスピードが落ちてきた次の瞬間、激しい爆発とともに黒煙が吹き上がり、車内はさらに混乱した状態になる。

　電車は駅に到着したものの扉が開かず、車内に煙が充満。乗客たちは、人が通り抜けられる大きさまで開いた窓の隙間から、続々と車外へ逃げ出した。

■京王線“刃物男”確保の瞬間

　刃物を持った男を警戒する警察官。乗客がいなくなった車両で、1人座っている服部容疑者の姿が確認できる。

　午後8時9分。警察は数人掛かりで、服部疑者を現行犯逮捕した。逮捕直前、服部容疑者はバットマンのジョーカーのような仮装をして、堂々とシートに座っていた。

　車内で服部容疑者を見た乗客たちは、「多分もうやった後だったかもしれないですけれど、本当にゆっくり近付いて来るって感じ」「無表情な感じ」「ニヤニヤとかしているわけでもなく、静かに座っている、一乗客みたいな顔をしていました」と話していた。

　服部容疑者は、駆け付けた警察官に「刃物を捨てろ」と言われると、暴れることなく刃物を座席に置き、所持品の検査に応じたという。

　この事件で、刃物で刺された70代の男性が意識不明のほか、16人がけがをした。

　服部容疑者は取り調べに対し、「人を殺して死刑になりたかった。2人殺せば、死刑になると思った」と、容疑を認めている。

　また、今年8月、小田急線で乗客が切り付けられた事件を参考にしたとも供述。警視庁は、当時の詳しい状況を調べている。

（「羽鳥慎一 モーニングショー」2021年11月1日放送分より）

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